武蔵野市の学校給食におけるアレルギー対応についてヒアリングしました
昨年12月20日、調布市の小学5年生女子児童が、チーズ入りチヂミを食べた直後に体調不良を訴え、約4時間後に死亡した事故は、衝撃でした。
乳製品アレルギーがあるこの児童に対して、「チーズ抜きチヂミ」を出していたにもかかわらず、「お代わり」で「チーズ入り」を食べさせてしまった・・・。
さらには、この事故の3か月前である昨年9月、同じ小学校で卵アレルギーを持つ1年生男子児童が、オムレツを食べて咳き込み、救急搬送されていた(転校生であったため情報共有が不十分だったと説明されている)事実も判明。
多忙な学校現場で、アレルギー除去食が適切に提供されているのか不安を感じました。
武蔵野市では、アレルギーを持つ児童生徒への給食提供はどうなっているのか、給食・食育財団と、教育支援課にヒアリングしました。
1.アレルギー除去食で対応している児童生徒数は、
小学校54人(在籍4,960人の約1%)と、中学校4人(在籍1,835人の約0.1%。ただし、中学校給食は選択制であるため、アレルギーを持つ生徒はもっと多い)の合計58人。
2.そのうち、「アナフィラキシーショック(急激な血圧低下や頻脈など生命にかかわる急性ショック症状が出る)」既往の児童生徒は10人いる。
3.この10人については、「エピペン」(アナフィラキシーショックで急激に下がった血圧を上げるアドレナリン注射薬。患者自ら注射できる)を本人が持参している。どこに置いているか、学校が把握している。
4.今回の事故後、給食財団では、「エピペン」の研修を行い、対象児童生徒の保護者と連絡・確認を行った。
5.給食の配膳の際の、目印の付け方については、現在再検討中。
6.武蔵野市では、平成20年9月に16ページにわたる「武蔵野市食物アレルギー対応」が作成されている。同時に平成20年11月、10条からなる「武蔵野市学校給食における食物アレルギー対策の実施に関する要綱」も制定されている。
7.ただし、この要綱では、「アナフィラキシーショックを起こすおそれがある等、食物アレルギー原因対応食を提供することが適当でないと教育委員会が認める者」については、「原則として食物アレルギー対応食の提供を行わないものとする」と定めているが、現実には、保護者との話し合いの下で、10人に提供を行っているのが現状。
8.武蔵野市では、センター2か所、単独校5か所で調理しているが、単独校でのアレルギー除去食の配膳には、厳格なルールがないのが現状。
*2月9日には、「アレルギーと学校給食~調布の学校給食事故から考える」という講座が開催されます。
講師:牧下圭貴さん(学校給食ニュース編集責任者)
主催:全国学校給食を考える会。
会場:大地を守る会 六本木会議室。
参加費:500円。
給食の安全、そしてアレルギーを持つ子どもの自立を考えていかなければなりません。