「嫌なことにはNE!(オランダ語でNOのこと)」リヒテルズ直子さんの「0歳からはじまる オランダの性教育」

2018年12月4日 16時41分 | カテゴリー: トピックス

講演中のリヒテルズさん

 オランダは、「世界幸福度ランキング*」で毎年上位を維持している「幸福度」の高い国です。そんな国の教育制度はどのようなものなのか気になるところです。今回は性教育に絞り、オランダ在住の教育研究家リヒテルズ直子(Naoko Richters)さんにお聞きしました。

「性教育」は寝た子を起こすことにはならない。
 日本では子供に性教育をすれば性交渉が低年齢化する、いわゆる「寝た子を起こす」と言われることがあります。しかし、WHOの調査によると15歳の性交渉体験率は欧州や北米では平均して女子17%男子24%であるのに対して、オランダでは女子16%男子15%といずれも平均を下まわっています。早期に性教育することで性体験が低年齢化する、わけではないのです。

オランダでは?
 オランダの性教育の授業では、子どもたちと教師が、ひとつのサークルを作り、相対して座り、授業が行われます。お互いに対等な関係を作り、発言に責任を持つようにする工夫です。また、テレビなどによく出る有名人が性に関するインタビューを受け、自らの体験を語った動画も使われます。授業のテーマは、初めてのデートやキス、月経、妊娠、避妊など幅広い内容です。
皆さんは、性教育は性行動や安全な性交渉などの情報を教えることが重要だとお考えでしょうか? オランダでは「性」を愛情の問題ととらえ、その性教育は子どもに心身とも健康で幸福な人生を送る人になってほしいとの思いが込められているそうです。
性病感染や妊娠のリスクについてですが、21歳まで避妊薬は健康保険の対象で、ピルもホームドクターの処方により無料で手に入れることが出来ます。コンドームも無料で配布するなど若者の積極的な使用を奨励しています。
また、オランダでも性に対する考え方は一様ではなく、市民と新たに住み始めた移民との間には大きな認識の差があるそうです。そのためオランダでは性教育を自由意志と人権の尊重に基づく意識の形成としてとらえ、難民や移民を含めた教育を義務として取り組んでいます。

これからの日本の性教育は…。
 翻って日本の性教育の現状を教育委員会に聞くと、「子どもの成長や発達段階に応じた教育を各教科通じて行っています」と判で押したような答えが返ってきます。オランダのように輪になって生徒と教師が性に関して率直に話しあう機会など、現状では望めそうにありません。例えばアダルトビデオなどからの間違った性情報に子どもたちが触れることで、自ら性的なことを決めること(性の自己決定)や他者の尊厳を尊重することが疎かになってはいないでしょうか。教師だけが性教育をすることは限界があります。地域の保健所や助産師会などには高い専門性を持った人材がいます。地域と学校の連携をより深め子どもたちに性に関することで「嫌なことはNO!(リヒテルズさんの言)」と言って良いのだということを伝える必要があります。

西園寺みきこ武蔵野市議会議員の挨拶

*世界幸福度ランキング(World Happiness Report)とは、国際連合の「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」がまとめたもので、156カ国を対象に、1人当たり国内総生産(GDP)、社会支援、健康余命、社会の自由度と寛大さ、汚職の頻度などについて分析しています。2018年3月発表の報告書では、オランダは5位、日本は54位にランクされています。

 

 

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リヒテルズ直子著『0歳からはじまるオランダの性教育』日本評論社