3月8日「生き物環境調査・東京フォーラム2013活動報告会」で発表しました。

2013年826日、武蔵野生活者ネットワークが所属している地域協議会で「生き物環境調査」を行いました。

生活クラブ生協まち武蔵野では、今回初めて生き物環境調査を実施しました。場所は武蔵野市境4丁目にある「境山野(さかいさんや)緑地」です。南側が武蔵野市に唯一残る雑木林で、明治の文豪国木田独歩の小説『武蔵野』と関わりがあるため、地元では「独歩の森」とも呼ばれ親しまれています。ここは地主の方の意向で開発されずに残りました。

緑地の北側は、約9年前まで青年の家が建てられていましたが、取り壊しが決まり武蔵野市が買い取った後、まとまった緑地となりました。緑地・雑木林を「武蔵野の森を育てる会」が市から委託を受け、管理しています。今回は、奥さまが生活クラブ組合員である代表の田中雅文さんから、植物や昆虫について解説いただきました。 

解説いただいた内容は…。

  • 北側の緑地の一部は、埼玉県のおおたかの森?から植物を移植したこと。
  • 雑木林では熟していない青いどんぐりが落ちている。これはハイイロチョッキリ(別名どんぐり虫)という昆虫が卵を産み付け、鳥に捕食されないよう地面に切り落としたためとのこと。
  • クヌギとシラカシの見分け方。クヌギの幹の方が黒い。
  • 猛禽類最少のツミが生息していて、ツミとオナガは共存関係にあり、カラスをツミとオナガが集団で撃退しているが、オナガがツミを攻撃することもある。
  • かつては、九州・四国・中国地方に生息していたクマゼミが、数年前から緑地でも鳴いている。緑地に植物を土ごと移植したので、土の中にいたクマゼミが成虫になり生息したようだ。温暖化という理由だけではないそうです。

雑木林について

本来、クヌギやコナラ、シラカシなどの雑木は薪や炭として、葉は腐葉土に使われ、一定の期間を決め伐採・萌芽更新をしていました。現在需要がなくなり70年間切られていません。幹が太く高さもあり、茂りすぎて地面に光が入ってこないため、暗い場所でも成長できるオカメザサなどがはびこり、下草は生えず植物の多様性が失われてきました。

さらに地域住民の理解が得られず萌芽更新が出来ない状況でした。そもそも雑木林は人の手を入れることで保たれてきたため、萌芽更新が必要と「森を育てる会」は市に要望してきました。雑木林は住宅地にあり、森と接している箇所は倒木の恐れもあるため、今後部分的に萌芽更新を行うことが決まりました。

調査を終えて

このまま放置しておくと、武蔵野の面影の残る雑木林ではなく、常緑林になる恐れがあると感じました。雑木林には光が差さず薄暗く、下草も少なく、雑木林としての機能が失われつつあります。緑地の保存を続けることは、多様な生物が生息できる環境の保全につながることがわかり、萌芽更新の大切さを強く感じました。

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