食品廃棄物資源化施設「みずほバイオマスセンター」

木炭利用で堆肥をつくる〜軌道に乗るにはもう少し時間がかかりそう

期限切れ食材の箱の説明をする小野澤惣さん。1個ずつ手作業で箱をはずし、中身を取り出す。
期限切れ食材の箱の説明をする小野澤惣さん。1個ずつ手作業で箱をはずし、中身を取り出す。
 

青梅線小作駅から車で5分。瑞穂町箱根ヶ崎にある株式会社サンライフ「みずほバイオマスセンター」を見学してきました。(西園寺美希子記)
1.生ごみはどこから?
 日野市・昭島市・国立市・青梅市の学校給食生ごみが日量2.5トンぐらい。国立市の青果市場・コンビニ食品の工場から出る半端な食材・スーパーやレストランから出る生ごみ(以上は産廃)など、日量60トン前後を受け入れ。府中刑務所からも来ているとか。
2.どうやって堆肥に?
 明星大学吉澤秀治教授のサポートによる「木炭粉を加え好気的環境(有機物を酸化するのに必要な酸素が十分にある条件)で微生物処理する」方法。10トンの発酵槽が12台林立。「松じいの堆肥」など何種類かの商品登録を行い、35ℓ450円前後で販売。出荷前には発芽試験と成分分析を実施。
3.虫が見当たりませんが?
 殺虫剤は一切使わず、みょうばん液と木酢液を散布。「実際はかなりハエがいますよ」と苦笑いされてました。
4.事業はいつから?
 平成17年から実験が始まり、事業としてスタートしたのは昨年1月から。契約先が徐々に増え、現在日量60トンですが、まだ利益は出ない。処理能力は日量120トンですので、もうひとふんばりなんですね。
5.処理費用は?
 分別の良し悪し、収集方法などにより個別に決めるが、自治体での持ち込み焼却より低い価格を設定している。
6.意気込みが伝わってきました。
 この見学は「東京都環境学習リーダー連絡会」の企画。19名参加。対応してくださった伊藤公一参与は「見学の皆さんを受け入れる応接室もまだないし、都内の事業者さんのようなきれいな施設でもありません」と恐縮しておられましたが、「三多摩のごみを少しでも資源化していこう」という気概にあふれたお話しぶりでした。
7.資源化と発生抑制
資源化施設を見学して私はいつも思うのですが、「事業を順調に成立させるためには、いいごみが安定して入って来なければならない・・・」つまり「施設がごみを欲しがる」 ところが、私たちが本当に求めているのは、「資源化」よりも「経費削減=発生抑制」です。世の中の流れが変わって、発生抑制に重点が移ると、設備投資して築いた事業と施設が、宙に浮いてしまう恐れもあるのです。
8.矛盾・・・
 きょう見学させていただいたサンライフさんの「みずほバイオマスセンター」事業発展を願う気持ち(燃やさないで、ここに持ってきて堆肥にしてよ〜)と、ここに持ち込まれる生ごみが増えてほしくない気持ちの両方の気持ちが・・・。矛盾しています。
9.期限切れ食材の活用
 この施設でも、期限切れ食材の箱が山になっていました。4月に見学した「さなぎの食堂」で学んだように、これらの食材が困っている方たちに役立つような仕組みが作れたらいいのになあ、と思いました。
10.施設はこんもりした森の中
 横田基地に離着陸する輸送機の姿が間近に大きく見えました。施設は、一歩離れるとこんもりとした森に包み込まれています。畑の中の施設で、サンライフの皆さんが努力を続けておられるのですね。