第3回定例会で総務委員会委員長報告に反対の討論をしました

真の意味での議会改革とは

生活者ネットワークでは武蔵野市の議会改革に関連した二件の定数削減を求める陳情に反対しました。定数の削減そのものに反対しているわけではなく、議会の政策立案や市民参加に関する議論が足りない点が問題です。以下の討論をしましたが賛成多数で定数削減が決まりました。

市長と市民とのタウンミーティングや長期計画調整計画市民委員公募など、行政への市民参加が進む一方、議会が市民にとって見えにくい存在になっているのではないでしょうか。
また、政治に対して市民の関心が低いことは選挙のたびに話題となる5割を切る低い投票率にも現れています。

ところが、投票率が8割を超える北欧では中央政府は小さくする一方、地方自治体は大きく権限を委譲され予算もつけられています。議員は兼業が当たり前で、公務員であっても認められています。他の仕事を持ちながら多様な市民が議会に参加しています。
国の違いから簡単に比較できるようなことではありませんが、記憶に新しい世界一となったフィンランドの学力調査結果や経済発展に、また自国の社会に満足していると回答する国民が7割もいるスウェーデンの状況からも、政治が市民生活の豊かさを支えていることが伺えます。

日本でも平成12年に地方分権一括法が施行されました。
議会の権限が大きくなり、議長の議会招集権・委員会の議案提案権・議員の複数の常任委員会へ所属すること、が可能になりました。また、学識経験者の知見を活用し議会の政策立案機能を強化するとあります。
政策立案機能を強化することについては、自治基本条例を持つ自治体では、議会の役割としてすでに独自に位置づけられています。

また、議会基本条例をつくる自治体があります。
全国初の「議会基本条例」を制定した北海道栗山町議会の報告書には「議会はそのもてる能力を十分に駆使して、自治体事務の立案・決定・執行・評価における論点・争点を広く町民に明らかにする責務を有している。自由闊達な討議を通して、これをこれら論点・争点を発見、公開することは『議論の広場である議会』の第一の使命である」と前文に記され議会本来の役割が示されています。さらに「住民と共に歩む協働参画型議会」であることを明確にし、請願や陳情を町民による政策提案と位置づけ、議員と町民が自由に意見交換する「一般会議」を設置する、議員相互間の自由討議の推進など議会改革に不可欠となる議会への市民参画が盛り込まれています。

12月20日に可決される見通しの「三重県議会基本条例」でも、議会における意思形成過程・政策条例などの立案過程での市民参加のしくみや議会サポート体制の充実として、調査情報収集と政策法務担当の設置が書かれています。

首長と議員が別々に住民から選挙される「二元代表制」では首長も議会も自治体の運営に関し、住民に対して直接責任を負っています。多様な市民のニーズを代表しているその責任を負った議員が、市民と共に条例案を作り、議会で議論し尽くすことにより、議会としての統一した合意を創っていく、それが地方分権時代を生きる市民にとって優先されるべき一番の議会・議員のあり方だと考えます。

市民ニーズを代表する議会の政策立案能力向上を図るための議論が充分にあったでしょうか。真に適切な議員数に関しては各常任委員会で複数制をとるかどうかで人数が大きく変わってきますが、議会改革の場ではまだ自治法改正内容についての議論はされていません。
議会を広く市民とつなげ、議会を真に市民のものとしていくための議論が不十分であるため、今回の委員長報告に反対いたします。